「和風・洋風、古いもの・新しいものが調和した家で、
            桜の眺めを楽しんでいます」
花見台のある家
伊坂デザイン工房・伊坂重春

花見台のある家 外観(3階に設置された第三の花見台を見る)
外観(3階に設置された第三の花見台を見る)
 
花見台のある家  導入
(入り口から玄関
までのアプローチ)
花見台のある家  玄関
(腰貼りには建主の
書かれた「雪月花」)

花見台のある家  2階リビング
(ブリッジから2階リビング・
キッチンを見下ろす)
花見台のある家  2階キッチン
(子供世帯のためのキッチン)

住まい心地インタビュー
――とても風情のある玄関ですね。
「ここは、戦後まもなく建てた古い家の床柱と違い棚の部材を再利用したところ。とてもよく仕上がっています。古いものと新しいものとの融合が、この家づくりでの第一の希望でした」

――新しいものを使った部分はどのように演出していますか?
「バスルームと洗面室、リビングの内装などは、暖かみのあるイエローやベージュ、アイボリーを基調にタイルや壁の色を選びました。塗装の仕上げの方法は風合いを意識しています。どちらもイタリア製のものですね。塗装の範囲も考えたりこだわりがいっぱいです」

――そこがお気に入りのスペースですか。
「ええ。リビングは吹抜けで全面ガラスにし開放感をアップさせたので明るく快適です。でも一番のお気に入りはやはり、登れば全面の桜の眺めも美しい3階のベランダでしょうね」

――和洋、新旧、テイストが違っても桜を愛でる心はひとつですね
「はい。古いものとしては、他にも欄間の木彫りや網代などを生かしています。外構は、門や石畳そして瓦での装飾や塀もそのまま使っていて、今までの家の存在感も十分に残せました。愛着もありますが、使えるものは有意義に活用するという考えは生き方の問題でもあり大切だと思います」

設計のポイント
東京都世田谷区東部を通る北沢側緑道沿いに、花見台をもつこの家は建つ。緑道は桜並木が約1Kmほど続き、現在の暗渠をせせらぎにする計画も決定しており、都心でありながら閑静な住宅地に位置する。戦後まもなく建てたいという腕木門をもった旧建物は、桜並木に同化し朽ちる儚さを漂わせるものであった。その門には「小葉書院」という古い看板が掲げられていた。われわれは、直感的にその腕木門を残し、建物の一部を残すか古材をリサイクルし、住み手の記憶と道行く人の記憶に留めたいものであると考えた。また、書道家である建主は腰貼り、襖、壁と建物が立ち上がるにあわせて書を配してくれた。このようなコラボレーションを通じ建主のセルフビルドの姿勢と現代の建築生産システムで奪われているクラフトマンシップのあり方を再確認することができた。
 
伊坂デザイン工房・伊坂重春   他作品・「雲悌のある家」 「ハニカムハウス」

  作品データ  
 

■場所/東京都
■区別/新築
■構造/
混構造(木造・S造)

■建坪/212.12m2
■竣工/ 1996年1月

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