「心安らぐ田舎の家風の住まい方を
 とことん取り入れて気持ちいい暮らしに」
玉川学園の家
村山隆司アトリエ一級建築士事務所・村山隆司

玉川学園の家
外観北東面
 
玉川学園の家 外観北側 玉川学園の家 和室から居間

玉川学園の家 居間 玉川学園の家 ロフトから居間

住まい心地インタビュー
――今回の家づくりのテーマは?
「自然の感じられる暮らし、ですね。家づくりも3回目で、ビニールクロスや新建材の床の感触には嫌気がさしていました。ムク板もあえて節のあるものをとお願いしたくらいです。より自然なものを求めていました」

――自然素材でつくったお住まいなんですね。
「ええ。洋間は珪藻土、和室はその他に和紙も使っています。家だけでなく暮らし方も自然にこだわりました。暖房をして半袖で過ごすなんて私には考えられません。わが家では寒いときは服を着ます。四季折々を感じながら田舎のように暮らすのが理想なんです」

――田舎風に暮らすことのポイントは?
「都会では昼間もレースのカーテンで視線を遮りますが、ここでは窓を開け放して風を通しています。居間を2階にしたので、のぞかれることもないし、光と風をふんだんに採り込めるんですよ。隣家と接近している東側は壁にしましたが、代わりに天窓を付けたので曇りの日も明るいですね」

――理想のお住まいになりましたね。
「はい。西側の林を見ると本当に田舎にいるようです。また南側の駅前の夜景に都会の美しさが感じられるのも気に入っています」
 

設計のポイント
 この建物は大学の敷地からつながる傾斜地の一部を開発した住宅地にある。斜面をカットして擁壁を積み、雛壇状に土地が作り上げられている。その中でもいちばん高い位置にあり、西側、北側に大学の雑木林を背負い、南側は高層マンションの20階に相当する眺めを持っている。ただし菱形に配された擁壁のために、矩形のプランが成立しにくい敷地形状を持っている。。
 施主はこの裏の雑木林と南に広がる眺めが気に入り、ここに10年間住んできた。しかし、地盤の沈下で床が下がり不安があるので建て替えることにした。最初にこの土地の話を伺ったときに、何気なく「林を見たらどうですか。」といった言葉が施主の気持ちを動かし、「私たちもそう思っているのですがなかなか旨くいかなくて。」と設計が始まった。
 日本では西陽を嫌う傾向がある。しかし、この場所は西側は雑木林で、適度に陽はさえぎられ、林を抜けてくる風は、夏は蒸散作用によるクーラー効果により涼しく、冬はその林によって北風を防いでくれていた。そこで、普段の生活空間を擁壁の上の林と同じ2階レベルにあげ、その西側全面に開口部を配して、隣地の林を借景して、まさに林の中にいるがごとくにすることにした。敷地の変形が障害となったが、1階をこの敷地の形状に沿って外形を決めることで、有効に地盤面を利用し、在来と2×4工法の中間の工法を利用して、2階はそれとは関係なく広い矩形の空間を浮かぶようにすることで、敷地形状に影響されない自由な平面構成を可能にすることで実現した。この構成は1階と2階のずれによる隙間を生じたが、それがトップライトでの光りの確保と、坪庭的ボイドとすることでの風の通り道の確保となり、より快適な空間を確保することが出来た。

村山隆司アトリエ一級建築士事務所・村山隆司   他作品・「新百合ヶ丘の家」「八街の家

  作品データ  
  ■場所/東京都
■区別/新築
■構造/木造
■建坪/60.24m2
■竣工/2000年4月

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