自然の風景を建物にデリバリーするシンプルな「箱」「装置」
ワンルームの空間が多様な世界に変容して行きます
DEVICE#9
前田紀貞アトリエ・前田紀貞
 
 
画像
リビング

 
外観
駐車場-キッチン
-ガーデン
ガーデン
 

リビングガーデン
ガーデン-寝室
リビング
 

 
 
住まい心地インタビュー
以前はマンション住まいでしたが、車椅子を使うのに、玄関や水回り、廊下などのスペースが狭く、ドアも邪魔になって毎日のように小さなストレスを感じていました。

私たちの使い勝手に合った居心地いい家を建てたいと思い、千葉市内に敷地を購入し、前田紀貞さんに設計を依頼しました。
「外部から閉じられた、けれど明るく開放観のある家が欲しい」
「庭だか建築だか分からないような空間を楽しみたい」
という希望を伝え、自分たちにフィットしたものにしたかったので、「無駄なものは省いて、常識で片づけるのは辞めて下さい」とオーダーしました。

作品をたくさん見て、こんな感じになったらいいなというイメージは出来上がったのですが、まさか平屋になるとは思ってもいませんでした(笑)。 初めて来た人はこれが住宅だとは思わないですよね。
でも、私たちはそういう住宅を前田さんに望んだのです。
そしてそれが実現しました。 新居に越してからは劇的にストレスがなくなりました。 ガラス張りなので自然と1つになって暮らすかのようです。

自然の表情って一瞬でも止まっていないし、毎日違うから、見ていて飽きないんです。揺れる庭の木に風を感じ、ステンレスの床に映る雲や月の様子、雨の日には、斜めに傾いたガラスを伝って流れる雨水や、ステンレスの床に雨粒が跳ねるのを飽きずに眺めています。 おかげで大嫌いだった雨が、大好きになってしまいました。 天気のよい日には外で食事したり、夜はライトアップした庭を眺めたり・・・。

これからも2人でマイペースにじっくりと、自分たちだけの自然を贅沢に味わっていきたいですね。
 
 
設計のポイント

この住宅は私達の考える最も純粋な建築のひとつです。

その外観は、ただの「箱」であり、部屋を仕切る間仕切り壁はすべてガラスになっており(=外は囲って内は透明)、視覚的には完全なワンルーム(バリアフリー対応)になっています。

この「箱」の家は、まず与えられた敷地境界線ギリギリに壁を立てるという方法から始まります。
これは「自分の家として、敷地全体を見渡せる広さ(=開放感)を感じることができる」という理由がまず第一です。 ただしこのままの状態だと建ペイ率は100%となってしまい、法規である50%制限をオーバーしてしまいますから、どこかで50%分を「引き算」していかなければなりません。
この「50%分の引き算」の為に設けられたのが、4箇所に分散された「庭」となる訳です。 この「庭」があることによって、ただの「箱」には、様々な自然がデリバリーされてくるようになり、一見ただの「箱」でありながら、「豊かな箱」にその表情を変えてゆくのです。

庭の床はステンレス板で仕上げが成されていますから、そこには青空や雲、夕焼け、月、樹木の揺らぎなどが空からデリバリーされ映し出されますし、斜めになったガラスには、雨の日に車のフロントガラスを流れ落ちるような水筋を目にすることができます。 また、雪ともなれば、この住宅は一面真っ白な世界に変容してゆくのです。

前田紀貞アトリエ・前田紀貞   
他作品・BORZOITHE ROSE」「THEN成城の家Y-HOUSEFunes

 
 
  作品データ  
  ■場所/千葉県
■構造/鉄骨造

■建坪/29.12坪
■竣工/ 2002年12

 
 
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