「父の残した庭の木や書籍を大事にしながら
 つかず離れずの距離感をもつ2世帯住宅に」
ほどほど同居
(株)TOS計画工房・大沢悟郎
 
 
ほどほど同居
©久野 雅晃
外観

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住まい心地インタビュー
――この2世帯住宅のポイントは?
「両世帯がつかず離れずのほどよい距離感を保てるような工夫です。そのため両世帯の居間のフロアの高さを半階ずらして、さらに向きがL型になるよう45度に振っています」

――すると変則的な配置になったのでは。

「ええ。それにはもうひとつ、元の庭にあった木々をすべて残そうという考えもあって。そのことを前提に配置を考えていきました」

――吹抜けいっぱいの書籍にも、古いものを大切にする気持ちが込められていますね。
「実は当初、更地にして建て替える予定だったんですが、ぎりぎりのタイミングで父から『何とか増築にできないか』と言われて計画し直したんです。その後、父が亡くなっていろいろと片づけていたら、古家が掲載された40年前の建築雑誌が出てきて・・・」

――お父様が家に込めた思いを、そこで改めて感じることとなったわけですね。

「最初は父も『好きなように』と言ってくれていたので、その思いに気づかなかったんです。確かに更地にして一から建てたほうがラクだし、新しいものも魅力的ですが、親が大事にしていたものを継承することも大事。この増築で大切なことを教わった気がします」
 
 
設計のポイント
この家は、昭和28年に建ったわずか12坪の家が、家族の成長や独立などの節目ごとに増改築を重ねて、現在のような2世帯住宅になったものです。その当初の部分が、居間として残っていてこの家のシンボルとなっています。2世帯住宅の計画のポイントの一つに、「つかず離れずの関係」ということがあります。この家は玄関部分のみの共用の二世帯住宅ですが、世帯間の“けはい”が感じられるように計画されてます。
西側に増築された子世帯棟は、スキップフロア(半階ずらした断面構成)を採用して、南側に半階上がった居間を設けて、大きな窓から、両方の居間の生活をわずかながら感じられるように配慮してあります。また、外部には、お互いの居間に面するように6帖大のウッドテラスがあり、その場所が、共通の野外パーティーの場に利用されてます。
増築の場合は、既存部分への影響を十分考えながら計画する必要があります。南側の屋根を下げて、既存の居間への日照を確保するとともに、以前から住んでいる親世帯の人々の思い出、近隣の環境を考えて、既存の樹木は一本も切らずに増築をしました。
この家に残っていた、祖父から多くの書籍類を、階段部分の吹抜けを利用した、天井までの本棚に収納、家の歴史をつくり上げています。
この家のように、これからは、時代とともに成長できるような家づくり、消費される家ではなく、ストックされる家をつくることが重要だと思います。
 
(株)TOS計画工房   他作品・「べつべつ同居」「南葛西の家」「千駄木の家」「TIMONE」
 
 
  作品データ  
 

■場所/東京都
■区別/増築
■構造/
木造

■竣工/1992年5月
 
 
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